茶碗の造り方

茶碗の造り方

  • 茶碗の造り方において大事な要素が三つ有ります。要素や決まり事と言うには沢山有りますがこれだけは押さえたいという意味で三つに選びました。これは茶碗に限らずぐい呑みや食器など全般に言えることです。
  • この三つの要素は桃山茶陶時代より伝わる茶碗全般で共通する点です。勿論例外もあり、別の約束事が重要だったりでそれに沿っていなかったりしていますのでそれはそれで了承して下さい。

CHAWAN

茶碗 口縁(口作り)

口縁(口作り)

口作りは茶碗や器物を作る上では最も重要な部分で、人が器物を見る最初の部分と言っても過言ではないと思います。
口作りを見て肉厚はどうかと見て重い軽いと判断したり、丈夫そうか否かを判断したりします。
口を付けて飲むものは呑みやすさを判断します。人という物は液体を呑むとき、特に液体が熱かったり呑みにくかったりするときに意識せず「すすって」います。すすった後必ずと言って良いほど上唇で器物の口の突端で液体を切ります。その時に器物の口作りが尖っているか否かで上唇で水切りが良いのか悪いのかで呑みやすいか呑みにくいか意識します。何時か意識して、丸い口作りの器と鋭く尖った口作りの器で呑み比べてみて下さい。唇の脇に液体が漏れ口周りを汚しそうな違和感に見舞われたりします。
一概には言えないのですが、そうしたことを前提として口作りするときに尖った所を作ります。白く薄くて綺麗な磁器の器でしたらそのまま薄く先端を尖らせれば良いのですが、土物ですと薄く見えると重厚さがなくなりますので見た目は分厚く上唇があたる所は鋭く尖らせる工夫が必要となります。
手練の茶碗を制作し口縁全体は凹凸が激しく飲み口にならないときは場所を定め刃物で鋭く切り込み飲み口を作る場合があります。


茶碗 見込み

見込み

見込みは食べたり呑んだりする時に必ず見える所でもあるし重要な所です。または抹茶碗なんかは抹茶が点てやすいや練りやすいなどの判断も出てきます。
茶碗には見込みの中に茶だまりという所が約束事になっていますが、この茶だまりの由縁が何なのかを知っておかないと自然な茶だまりが出来ません。そもそも茶だまりとは、器物を作るときに下手に作ると高台の中心にワレが生じます。そのワレを発生させないように見込みの中心をギュウベラなどで締めておきます。指などでは締まりが足らないのでヘラを使った方が良いと思います。李朝の焼き物で良く見かけるカガミもその異例と思います。
その時にできる窪みが焼き上がった後お茶を点て呑み終えたときに見込みの中心に残った茶が溜まっていくので茶だまりとして名前が付いたようです。
また、濃茶ようの茶碗は見込みから茶だまりかけすり鉢状になった方が茶が練りやすいと言われています。
向付けなどの食器でも言えることで見込みの中心に食べ残しの汁物などが集まり、見込み全体の景色として映るかでその器の良し悪しが決まってきます。磁器などで作る器は特に気をつけたい所です焼き上がると見込みの中心が突起したりする場合が有り、昔より土型にかぶせ高台を叩き締めて見込み内をフラットにしています。これはワレを防いだり茶だまりは作らず見込み内を綺麗に整えるようにしてきたようです。


茶碗 高台脇

高台脇

高台脇は何が重要かというと、それは見た目も大事なのですが使い勝手の良さが最も重要です。
茶碗の高台を作る上で何が重要かというと、茶碗というのは常に手に持つというのが習わしで手に持ちあげるときに右手の中指で高台脇を持ち親指で口周りを押さえ手で挟んで左手に乗せます。その時に右手の中指が高台脇にすんなり入り持ちやすい状態になるかの使い勝手が重要と思われます。高台の高さや大きさ、腰の立ち上がり具合などが伴います。
また見た目などは、お点前で茶碗の拝見などお茶碗を逆さまにし高台脇などを見ますので景色も重要となります。
色んな茶碗に応じて、「梅花皮」「土味」「高台作り」などの見所を伝えるための約束事が沢山あり、目立たなくとも気を遣わなくてはならない所でもあります。
そういった意味では高台周りを見ると陶芸家の技量が窺える所でも有ります。


上記三要素を含め最も重要なことはストーリー性(話題)が有るように造らなければなりません。昔より約束事として伝えられてきた技術や技法・装飾法など茶碗にまつわるお話、お茶席でそのお茶碗について話が進み時間を忘れるぐらいのストーリー性があれば最高の茶碗となるでしょう。

皆様がお茶席に誘われたり、作家さんの茶碗を拝見するときなど上記の説明が役に立てばと願っています。
ただ、例外はあると認識をお願いします。あくまでも参考にして下さい。

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鶴田 純久TSURUTA YOSHIHISA
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