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鶴田 純久の章 お話

漢作唐物肩衝茶入。
大名物。
別名「山井肩衝」。
樋口石見守知秀が所持したのでこの名があります。
「山井」の名は「浅くともよしや又汲む人もあらじ我に事たる山の井の水」の古歌から引かれたもので、小堀権十郎が箱に字形しています。
知秀はこれを慶長五年(1600~家康に献上し、家康は同十五年に伊達政宗に与えています。
寛永十三年政宗の子忠宗は父の遺封を嗣ぐにあたり家光に献上、同二十年忠宗は改めて拝領しました。
以後伊達家に代々伝承されたが天保の頃、大阪の炭保に預けられ、維新後炭保の有となり、さらに岩崎家に納められました。
口造りは捻り返しが強く、甑は下張りで肩の面が水平となり、肩がかっきりと衝かれています。
胴には沈筋がめぐり、ことしきれと交わって縦に六本の筋がみられます。
総体に栗色に紫色を帯び、肩先から幅広く共釉のなだれが二条下がり、一つは裾で止まって釉溜りが青みを呈し、一つは畳付まで下がり、釉溜りが青瑠璃色を呈しています。
土は朱泥色の細かいもので、畳付は板起しとなっていて、特に周辺は摘まみ出されたごとく不規約ながらもち上がっています。
『玩貨名物記』『古今名物類聚』『寛政重修諸家譜』など多くの記録にその名をみることができます。
【付属物】蓋五 仕覆―二、鳥襷緞子間道織留(図版右より) 家―桑、金粉字形・書付小堀権十郎筆 中箱 桐白木、書付同筆 朱塗四方盆
【伝来】樋口石見守知秀徳川家康 伊達政宗・忠宗徳川家光―伊達忠宗—金方炭保―岩崎家
【寸法】 高さ:85 胴径:7.5
【所蔵】 静嘉堂

樋口肩衝 ひぐちかたつき

一名山井肩衝。大名物、漢作肩衝茶入。樋口石見守知秀が所持していたのでこの名がある。※やまのいかたつき。)

樋口肩衝 ひのくちかたつき

名物。唐物肩衝茶入。
樋口石見守所持、岩崎家旧蔵。
(『茶道名物考』)

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