褐柚獅子牡丹置上香炉

褐柚獅子牡丹置上香炉
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
褐柚獅子牡丹置上香炉
褐柚獅子牡丹置上香炉

高さ9.5cm 口径6.2cm 底径4.8cm
東京国立博物館
 独特の器形をした阿古陀形の香炉ですが、胴の上部四方に牡丹と獅子の型抜きの置上文様を交互に貼り付けています。この牡丹と獅子の置上文様は図92の「二彩瓜文平鉢」の縁にめぐらされたものとまったく同様です。ところが、この香炉の高台には常慶印が捺されています。したがって、天正年間後期から寛永年間頃まで、楽家ではこの種の型による置上文様をつけた作品を使っていたことがうかがわれ、それらが長次郎だけではなく彼以外の楽焼の工人たちも常用していたことは明らかです。黒楽柚がかかっているが全体褐色に焼き上がり、口回りには白柚がかけられています。土は明らかに聚楽土が用いられ、高台の作りは茶碗と共通のものです。

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