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鶴田 純久の章 お話
獅子瓦
獅子瓦

高さ35.5cm
樂美術館
 磯野(現大河内)氏の『楽茶碗』によると、留蓋瓦に作られたものらしいです。長次郎焼を考察する上の貴重な資料で、獅子の腹に「天正二春 依命 長次良 造之」と銘が彫られています。すなわち、長次郎という作者の手になった楽の作品としてはもっとも早い年紀をもつものであり、また、長次郎や楽焼の始祖がこの種の装飾的な瓦の作者であったことをうかがわせるものでもあります。しかし、だれの命によって作ったかは判然としません。一部に露出している土は明らかに「無一物」などの一連の長次郎焼の初期赤楽茶碗と同じ土味で、全面にかけられている釉も「無一物」などと同じ性質の釉薬です。獅子の趣は桃山時代に流行した唐獅子をあらわしたものです。一部の人々は後世の作と見るようですが、土味や釉調などからやはり彫銘の通り天正二年の作と判断していいのではないでしょうか。

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