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鶴田 純久の章 お話
黄瀬戸 立鼓 花入 銘旅枕
黄瀬戸 立鼓 花入 銘旅枕

Ki (yellow) Seto drum-shaped flower vase- known as ‘Tabimakura’
Height 21.4cm Kubosou Memorial Museum of Art- Izumi City
Registered as lmportant Cultural Property
高さ21.4cm 口径10.5cm 底径11.9cm
重要文化財
和泉市久保惣記念美術館
 内箱の側面にしたためられた「セトの 里うこ 花入」の書付は千利休の筆と伝えられ、利休所持の黄瀬戸立鼓花入として、坂本周斎編の「中興名物記」にも収録されている名物道具であります。
 立鼓(りゅうこ)は鼓胴を立てた姿に似ていることからの名称で、鼓胴を立てた形を器にするという発想は中国の宋時代の陶磁にすでにあり、これら黄瀬戸の場合もそれをうけて、侘びの茶室での花入として。千利休が好みを示して焼造させたものではなかったかと考えられます。
 胴が引き締まりロ部と裾の開いた形は。床の間の花入としてふさわしいもので、その全面に透明性の黄釉がかかり、底には低い輪高台がつけられ、全体にかかった黄釉はよく溶けているが高台の周辺には火間や焦げが生じ、潤いもあって味わいが深い。
 中箱蓋裏には裏千家四世の仙叟が「瀬戸流鼓花入旅枕利休所持宗室(花押)」と書し、外箱には裏千家八世の一燈が「利休所持百会出 黄瀬戸 旅枕 花入 書付宗易筆 外箱 仙叟 江岑書付丸板添」と記していて、『利休百会記』の天正十九年正月二十五日朝の会に記されている「りゅうご花入」にあたるものと推定されています。さらに坂本周斎の箱書によれば、竹田道安を経て周斎の所持となったことがうかがわれる。

黄瀬戸立鼓花入

黄瀬戸立鼓花入
黄瀬戸立鼓花入

重文、千家名物。
鼓を立てた姿から立鼓と称されます。
口縁がわずかに反たんばんほぼ直線的にくびれた端正な形で、黄瀬戸としては初期のぐいのみ手に属します。
比較的透明で光沢のある黄釉がかかり、釉の厚く流れた部分に卵の斑釉が現われています。
茶人の賞美する胆礬はこの手の黄瀬戸には現われません。
利休に縁故のある黄瀬戸花入としてきわめて貴重な存在。
【付属物】 内箱杉白木桟蓋、胴書付千利休筆 中箱 桐白木桟蓋、蓋裏書付仙叟宗室筆 外箱―桐薬籠箱、書付千利休筆、蓋裏書付仙叟宗室筆 丸板—黒塗 同箱書付江岑宗左筆
【伝来】千利休鴻池家
【寸法】 高さ:21.2 口径:11.2 胴径:5.4 左右12.0 底径:9.4 高台高さ:0.6

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