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鶴田 純久の章 お話
黄瀬戸 茶碗
黄瀬戸 茶碗

高さ8.5cm 口径10.7cm 高台径4.9cm
 かつて大阪の鴻池家に伝来したもので、しかも箱の蓋表に「北向道陳好」とあり、利休に伝来したと伝えられています。この茶碗の形は天目茶碗とは異なり、天正十四年頃、京都で利休の好みによって長次郎が焼いた、いわゆる「宗易形」の長次郎茶碗と極めて類似した形であります。したがって伝承のように、永禄五年(1562)に歿した道陳の好みとして美濃で焼かれていたものであるならば、天正年間に流行する利休形の先駆をなすものとして注目される。近年の古窯跡の発掘調査によれば、この種のものが永禄年間に生産されていたことが認められています。高台の中に朱漆書きで利休の判が書され、高台はやや深く削り込まれた削り出し高台で、轆轤成形はなかなか端正であります。

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