御所丸 黒刷毛 茶碗

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鶴田 純久の章 お話

付属物
内箱 鉄刀木 蓋甲 牡丹金蒔絵 面 唐草蒔絵 金粉沃懸 外箱 桐白木 胴 布地 書付
伝来 静嘉堂
所載 茶器目利聞書
寸法 高さ6.8~7.3cm 口径:10.0~12.9cm 高台径6.9cm 同高さ:0.9cm 重さ:356g
所蔵者 東京静嘉堂

 これは静嘉堂岩崎家の伝来で、夕陽や緋袴と同好の名碗といえましょう。形・作風ともに、とりたてて変わったところはありません。ただ箆で切っておこした高台には違いありませんが、箆が多すぎたのか、何角形というより円形に近くなっているのが、他との違いといえましょうか。
 例によって白釉の下に黒刷毛をかけているが、白の窓に鉄絵がなく、白と黒の片身替りから成ります。その点いささか寂しい感がしないでもありませんが、この黒釉の微妙な景色は、充分にそれを補って余りあるといえます。即ち、これは上の白釉とのかねあいから生まれたものですが、上釉の薄い部分では、黒は金気釉といって茶褐色の鉄砂を吹き、やや厚いところでは漆黒、そして白釉がたっぷり溜まったあたりになりますと、ちょうど鼠志野のような青みの鼠色と化します。千変万化、人をあきさせぬ茶碗です。

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