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鶴田 純久の章 お話

名物
付属物 内箱 棒書付 伏見宮貞愛親王筆 中箱 桐白木 書付 藪内竹翠筆 外箱 書付村雲尼公筆
伝来 浪花 生島家
所載 申庚大正茶道記 大正名器鑑
寸法
高さ:5.9cm 口径:13.4cm 高台径:5.0cm 同高さ:0.9cm 重さ:191g

 大阪の生島家伝来の青井戸で、伏見宮貞愛親王の御筆と伝えられる隼の銘書があります。古井戸だちの小碗ながら、りりしく鋭い作風からついた名と思われます。やや外へ反りぎみに開いた椀なりの線も手強く、高台脇の削りの段落もかっきりと、それを受ける高台がまた、外へ撥形に張り出して、まことにめりはりのきいた力強い茶碗です。
 釉だちはいくぶん黄ばんだ草色で、ところどころに溜りを見せながら、厚からず薄からず一面にかかります。高台脇の削りが鋭いので深いちりめん皺が立ったのだろう、ここのかいらぎは実にくっきりと、削り目どおりに現われています。高台内のかいらぎは、ややはだれに出ているが、中央の兜巾が高く隆起して、申し分のない景色となっています。見込みは底に向かって轆轤目が渦巻いて落ち、大きな目あとがその中に淡く浮んでいます。たいへん爽やかで男らしい茶碗といえましょう。

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