志野掛花入 しのかけはないれ

志野掛花入
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鶴田 純久の章 お話

志野の花入は珍しく、このほかには逸翁美術館蔵の柑手口が知られるくらいであります。
円筒形で、首部に竪箆を残して段を付けた作意は、桃山時代の美濃窯の作品に共通する斬新なものです。
白色粗槌の胎土に、純粋な長石釉を施し、胴部に描かれた文様は、春先の柳と蕨の絵であるでしょうか、鉄釉が見事に発色して、志野の白い柔らかい地肌に、いかにも春の気分があふれた詩情豊かな姿であります。
美濃地方で上質の志野が焼かれたのは、天正から文禄・慶長年間とされていますが、この花入がどの窯で焼かれたかは不明としても、その最盛期のものということができましょう。《伝来》鴻池家《寸法》高さ16.2 口径9.0 胴径10.3 底径9.4《所蔵》畠山記念館

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