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鶴田 純久の章 お話

高さ13.2cm 口径26.5cm 左右30.7cm 高台径9.8cm
 たっぷりとしたみごとな大深鉢です。 口は鋭く端反りになり、胴の左右に太く無造作な手がつき、小振りの高台が素直に削り出され、全体にやや厚手です。 口まわりに点斑文をうち、見込には円窓内に草を描き、 胴の一方には山と草を上下に、 他方には、 五株の草を横一列に、上に八羽の鳥を描いていて、 鉄絵は薄く濃く発色して、 唐津らしい素朴な気分が感じられますが、 そこには志野の影響がうかがわれます。 高台を除いた全面に長石釉が厚くかかり、 やわらかくざんぐりとした膚合いに焼き上がっています。 おそらく藤の川内系の窯で焼かれたものと思われるが判然としません。 これも絵唐津では他に例を見ない優作です。

絵唐津 山文 手付 大鉢

絵唐津 山文 手付 大鉢
絵唐津 山文 手付 大鉢

高さ13.2㎝
口径25.0×26.5㎝
高台径9.7×9.8㎝
 絵唐津草花文手付大鉢と形の仕立て方はよく似ていますが、全体から受ける気分は随分違う。
あちらが雄健な力強さに満ちていたのに対し、こちらはすこぶる温潤でのどかな趣をたたえています。
形の発想はおそらく同じ李朝の祭器からきたものであるだろうが、本図例のものではそのめりはりの強さがすっかり柔らげられて、日本の漆器に見る角竪の形にむしろ近くなっています。
反返った目緑部に、点々と鉄砂を打って擂座風にした意匠は、志野の鉢などによく見るところで、美濃陶の洗礼を受けた後の作品と考えられます。
山と草との穏やかな絵の調子も、それを物語っています。
長石釉のかすんだような効果が魅力的です。

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