朱衣肩衝 あけのころもかたつき

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鶴田 純久の章 お話

大名物。漢作肩衝茶入。伝相阿弥著『東山殿肪之記』に「あけの衣いやしくそざう也、あけの衣は五位のしやう也、五位のくらゐほどのっぽなり」とありますが、総体か飴色の中に赤味を帯びた黄釉のなだれか幕状をなして、僧侶の着る朱衣の裾に似た趣があり、銘もこの景色に因んだものであろうといわれます。
漢作肩衝としてはやや小形で黄釉の景色がおもしろく、朱の衣という銘と共に最も興味多い茶入と評されています。
もと武野紹鴎が所持し、のち徳川家康の蔵となり一時紀州侯に移りましたが、同家から再び幕府に献上されました。
1850年(嘉永三)に琉球入貢の功によって薩摩国(鹿児島県)の島津侯に与えられました。
1928年(昭和三)の同家売立では二万七千三百円で落札されました。
(『古今名物類聚』『麟鳳亀龍』『大正名器鑑』)

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