牛篦(ギュウベラ)
唐津の向付を牛篦(ギュウベラ)で作る
この牛箆(ギュウベラ:牛の舌のようなヘラ)一つで色々な形の向付けが製作可能です。古唐津の向付け、特に茶道の懐石に使われたり織部好みだったりする唐津向付はこの様に作られたと言って過言では無いようです。
GYUBERA
https://youtu.be/2KReCFxI3lI
◇牛篦で土を延ばす
◇土を締めながら見込み内を形作り
◇見込み内と立ち上がりの段差付け
◇牛篦先端の腹で広縁の成形
◇見込みの土の締め
牛篦最後の土の締めは見込みの中心を行います。これは高台の中心が切れるのを防ぐために行いますが、その形跡が中国や朝鮮の陶磁器などで見かける「鏡」と言われるものや日本の茶道の茶碗などで「茶だまり」と言われるもののようです。
◇口縁部を変形させる
最後に口縁部を変形させ変形向付けを仕上げます。桃山茶陶の志野や織部、唐津や古染付などこの様な変形向付けが流行っていました。共通して言えるのは見込み内を鏡にして段差を付けて広縁を立ち上げ変形させて向付けにしています。
懐石盆には真円や丸い形状では入りづらく同じ容量でも変形させた方が良いとの知恵だと思います。
この技法は古唐津の古いもの特に岸岳系には少なく織部好みが流通し始めた多久・松浦・武雄系の唐津に多く見られます。また、初期伊万里時代にも見受けられますが土造りが安定し始めると、押し型に成形した器をかぶせて高台を叩いて締めて土の切れを無くす方法を使い始めたため、この牛篦の使い方は姿を消したようです。