土がどのように焼締まっているか(土の成分のガラス化)を目に見える実験をしてみました。
10分程度の動画ですが、10分たっても水玉はなくなりませんでした。
土の中に水は浸透せず、土自体がガラス化して焼締まっているということです。
土が焼き締まるということは人類が太古より課題とした問題で、土器時代・炻器時代・陶器・磁器と土を形どりして火を加え固めるという焼き物の歴史でもあります。
土器時代は野焼きが主でしたので800℃前後で焼成し、水をかけても崩れない程度で土を焼けば固まるという初歩的な焼き物と言えるでしょう。
1000℃近くで焼こうとすると専用の窯がいるようになります。野焼きじゃなかなか温度が上がらず、それ以上の温度と言うと囲いが必要になり土壁とかレンガで囲った窯でないと温度は上がりません。
炻器時代、いわゆる日本六古窯で焼成された焼〆の焼き物です。半地下の穴窯が多く長時間火を絶やさず焼くことにより温度が上昇し及び燃料となる薪の灰がかかり素材である土の内部と表面にガラス化が生じ、土の粒子が溶け合っていきます。
ガラス化とは、土の細かい粒子に硅酸(ガラスの原料・高温になると液状になる)が温度により液状化し粒子同士が結合し一体化する現象です。火山活動で流動化して流れ出す溶岩と同じようなもの。
陶磁器、日本では炻器時代が長く続き、朝鮮半島や中国からの渡来人の技術によって開始された近世からの釉薬の掛かった焼き物を言います。先程のガラス化する土を釉薬と使い器の表面にガラスのコーティングし表面をなめらかにします。あまりガラス化しない粘りがあるカオリン質が入っている土で整形し、表面に釉薬を施して高温(1250℃前後)で焼成します。
このカオリン質と珪酸質との兼ね合いが土が焼き締まるというのに大きく作用されます。カオリン質が入ってないと粘りがです形は作れないし、入りすぎると焼き絞まらない。カオリン質というのはガラス化する溶融点が高くなり高温でないと溶けない性質です。
古備前 水指
焼成温度:1220℃ぐらい
鉄分が多く含まれた土
古唐津 沓茶碗
焼成温度:1250℃ぐらい
唐津の土としては白い方
古唐津 向付 焼山窯
焼成温度:1180℃ぐらい
やや鉄分を含んだ白い土
古唐津 碗 道園窯
焼成温度:1250℃ぐらい
やや鉄分を含んだ白い土
古唐津 小皿 南川原窯の辻窯
焼成温度:1180℃ぐらい
陶土が含んだ白い土
絵唐津 湯呑 日在窯1983年
焼成温度:1240℃ぐらい
砂毛の多い白い土
絵唐津 湯呑 久窯 2020年
焼成温度:1240℃ぐらい
砂毛の多い白い土
古唐津斑唐津ぐい呑陶片 帆柱窯
焼成温度:1250℃ぐらい
砂毛が多く含んだ白い土
唐津の砂岩土をそのまま焼いたもの
焼成温度:1250℃ぐらい
砂毛が多く含んだ白い土
自分の身の周りの焼き物を実験してみてはいかがでしょうか。
いろんな物が見えてきます。