土の話

柱窯の斑唐津ぐい呑の陶片
Picture of 鶴田 純久
鶴田 純久

ここで掲載されている画像の陶片は焼成後外部の空気に触れていない(浸食されていない)部分を確認するために器を割って断面を撮影しています。400年前の焼けた状態を確認できます。

古唐津斑唐津ぐい呑陶片

まず、掲載した画像は鬼子嶽城周辺の古窯跡帆柱窯の斑唐津ぐい呑の陶片です。この陶片の割れた断面を少し平らに磨き拡大鏡で移した画像です
拡大した画像の上部に写るのは斑釉の釉薬で其の下の方は土の部分です。肉眼では見えませんが土の部分も釉薬同様よく熔けてガラス化しているのが解ります。


砂岩質唐津陶土

①、掘って来たばかりの原土で鉄の部分は大まかに取り除いています。
②、左③が焼く前の生の原土で、右④がそれを1250度で焼いた上薬を掛けない素焼きのものです。
④⑤、素焼きの素地を半分に割り断面を少し磨いています。
⑥⑦、拡大鏡で移した画像を見ると前記の古唐津の陶片同様よく熔けてガラス化しているのが解ります。

推測ですが帆柱の陶工もこのような砂岩質の岩か固まらず粘土状の土かを使用して造っていたのでしょう。
また、このような岩もしくは土を水簸して、土と釉薬成分(長石成分)を分けて取り出し、長石成分と竈の土灰とを混合して上薬を作っていたのでしょう。
話はそれますが、先ほどの斑唐津の釉薬ですが、北朝鮮の生活様式でいうと竈に焼べる燃料は寒い地域ですので樹木は少なく硅酸分の多い稲科の草木を使っていたようですので上薬に使う土灰も硅酸分が多く乳濁釉になるのが当然かと思われます。


初期伊万里茶碗陶片

全く不純物が少なく白くよく熔けてガラス化しいているのが解ります。上薬と同様にやや気泡があるようです。
400年前ですら、土からの鉄分を取り除き、水簸などの精製技術が窺えます。釉薬の方がやや鉄分が多いのか青味がかっています。多分土灰の中の鉄分の影響でしょう。


古唐津絵唐津皿陶片

全体の雰囲気がやや黒い、土に鉄分が多く含まれた陶土が使われています。
拡大画像で見ると土色及びグレーの所が鉄分の色です。色が付いていますが全体によく熔けてガラス化しているのが解ります。


古唐津青唐津ぐい呑陶片

青唐津ですから土には多くの鉄分が含まれています。と同時に熔けきれない部分もあるようで、鉄分及びカオリン質が多い土、決して良質な陶土とは言えないようです。


古唐津無地唐津片口陶片

この陶片は古唐津の中でも鉄分が少ない方の陶土を使用しています。この陶片は有田周辺の窯跡より収集したもので、遠い昔に泉山陶石の山が自然風化され流れ溜まった土だったのでしょう。有田に近い分不純物が少ないといった所でしょう。有田周辺の古唐津は面白くないと言うほど白い(肌色)唐津が多いです。


古唐津叩き造り甕陶片

古唐津窯跡市若窯より採取した叩き造りの甕の陶片です。やや鉄分が含まれているもののよく熔けてガラス化しています。叩き造りの土、特に市若窯の土造りはまず水簸した白い土に有機物が多い粘りのある土を混ぜ込んで造っているようで、低い焼成温度でもよく焼締まるよう造られています。たまに白い所と黒い所が練り込み上で焼けた作品が見受けられます。

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