茶炉・茶風炉ともいいます。
茶の湯で席上に据え釜を懸けて湯を沸かすのに用いる炉であります。
銅・鉄・陶磁製があるようで、金属製のものはいたって古くからありましたが、土製のものはわが国では珠光に始まったといわれています。
珠光が奈良の陶工に命じて土風炉をつくらせてから奈良風炉は天下に著名となりました。
西村宗四郎は豊臣秀吉から天下一の称号を受けた名誉ある奈良の陶工でありました。
『茶経』によりますと、中国唐代には金属製と竹製とを用い、南宋になっても同様で、元の至正年間(1341-68)になって初めて泥を用いてつくりました。
これが運泥炉であります。
深草にも土風炉はあったが奈良風炉に比べはるかに劣っていました。
古くは四季の別なく風炉を用いていましたが、中世以降囲炉裏が使用されてからは、多くは4月より9月までのものとなりました。
(『茶経』『茶経詳説』『和漢茶誌』『和漢三才図会』『茶道堕蹄』『雍州府志』『茶湯古事談』)