Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
色絵吉野山図茶壺
色絵吉野山図茶壺

Ninsei: tea jar with Mt. Yoshino design, enamelled wareHeight 28.6cm Seikadō FoundationRegistered as Important Cultural Property
重要文化財
高さ28.6cm 口径10.5cm 胴径27.1cm 底径11.5cm
静嘉堂文庫
 姿は色絵藤花図茶壺、色絵月梅図茶壺の茶壺とほぼ同様であるが、頸の付け根に二筋轆轤目がめぐり、肩の四方に配した耳がやや口部に寄っています。さらに、口部から胴裾にかけて全面にかけられた白濁色の本焼地釉は、口まわりに厚く薄くむらが生じ、頸まわりは兎斑状になっています。
 この茶壺の第一の特色は、「色絵若松遠山図茶壺」 とともに、俗に仁清黒と呼ばれる黒釉で一部を塗りつぶしていることで、漆黒の釉をかけたため、肩まわりの源氏雲と主題の桜花咲き誇る吉野山の意匠が鮮やかに浮き出ているところにあり、いちだんと蒔絵的な趣が深まっています。
 仁清の茶壺や水指など大作には、轆轤で挽きよいように、一見信楽土に似たやや粗い胎土が用いられ、平らな底に 「仁清」の大印が捺されていますが、これは左側中央ではなく、円形の底の中央に捺されています。

前に戻る
Facebook
Twitter
Email