名物。古瀬戸春慶茶入。伊達仙台侯伝来。茶入の擂座に陰陽の二種があり、陽は擂座が高く張り出し、陰は擂座が低く窪んだもので、陰の擂座が付いているところからこの名があります。
口作は薄く、捻返しがなく、甑際を廻って丸い陰擂座が二十二個あり、個々の擂座から短い竪箆が一筋づつ刻み出され、柿形の胴から少し下った所に沈筋一線が廻り、裾以下は鼠色の土を見せ、細い糸目が底際まで廻り、底は輪糸切。総体にやや濃厚な栗色で、肩先に黒ずんだ釉飛びがあります。口縁から甑際に達する疵繕いがあります。
(『茶道名物考』)