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鶴田 純久の章 お話

 これらも元禄から享保頃の色絵鍋島であるが、なかでは葦波頭文皿の縁に青磁をめぐらし、見込に波頭と葦に螢をあらわした皿はほとんど例を見ない珍しい図柄である。椿柴垣文皿の作品は器形に特色があり、また文様も珍しい。松竹梅文皿の「松竹梅文皿」はかつて十客揃っていたもので、享保年間の年紀の箱に収まっていた。したがって、享保頃の色絵鍋島を推定しうる貴重な資料である。作行きは上質であるが、文様の配置にややかたさがうかがわれる。龍田川文皿、椿繋文皿、葦波頭文皿はいずれも裏面に七宝結文、高台に櫛目をあらわし、椿柴垣文皿は牡丹の総唐草とし、高台の櫛目文は短く不揃いで、その筆致は荒々しく、器形が楕円にひずんでいる。絵双紙文皿はやはり七宝結文に櫛目高台。秋草文皿は木蓮文様に櫛目の高台をつけているが、全体に発色が薄い。松竹梅文皿は葉先ののびた牡丹唐草文に櫛目高台。松竹梅文皿は色鍋島の裏描きとしては珍しく、薔薇の折枝文を配し、花に赤と黄の上絵具をさしている。このような裏描きは他に例を見ない。

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