Oribe four-legged square box with cusped surmounted by chrysanthemum-shaped knob corners. with cover
高さ13.0cm 口径18.9×22.3cm 四脚
手鉢とともに蓋物も織部のなかでは大作に属するものであり、ままた魅力的な作品が多いようです。 四方入隅にした長方の蓋物で、一般に見ます煮物に比して身の立上がりが深くたっぷりとしています。 平らな蓋の中央に十六弁の裏菊の花を大まかに浮き彫りして、 鈕の座にしています。身は腰から底にかけて一段深く作られ、底裏の四方に脚がついています。身、蓋とも対角に緑釉をかけ、 蓋の余白には蔓草の巻きついた竿、 松、 黒地に白丸文を抜いた抽象的な文様などをあらわし、身の見込には鉄線蓮らしい蔓花をのびやかに軽妙に描き、 外側の一方には網目風の文様、一方には鋸歯文を描いています。 焼上がりは、織部の蓋物としては稀に見ます良好さで、釉膚はいかにもやわらかい。
緑釉の釉切れが赤く辰砂に窯変していますのも巧まざる景色となっています。この種の手鉢や蓋物など、型抜き成形もの共通の布目が内面に残り、また見込に目跡が三つ残っています。
かつて大阪の鴻池家に伝来したもので、 箱の蓋裏に 「瀬戸ふたもの」と書き付けてあります。