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鶴田 純久の章 お話

瀬戸物および唐津物は共に陶磁器の通称語。
瀬戸物は、尾張国(愛知県)瀬戸産のやきものが内地諸国に流布するに従って広く通称されるようになったもので、製造品の変遷に伴い初めはもっぱら陶器を意味しのちに磁器本位に移りましたが、世間ではこの区別に関係なく単にやきものの意味で用いています。
瀬戸物という通称語の使われる地域はだいたい畿内以東で、中国・四国・九州地方ではもっぱら唐津物という語が用いられています。
しかし両者の境界はもとより画然としたものではなく、例えば石川県では古くから唐津物の称が行われ、また高知県の一部の地方においては今も瀬戸物の称呼が残っているように、錯雑しています。
これは交通その他種々の原因によるものでありますが、要するに瀬戸および唐津(有田磁器をも含む)が古来わが国における最も有力な陶産地であったことを実証しています。
そして特に瀬戸物という名が広く使われているのは、享和・文化年中(1801-18)より尾張藩が蔵元などの制を設け自ら磁器の販売に関与したことによるのであるでしょう。
なお瀬戸物の称呼はすでに古く1563年(永禄六)に織田信長が下した制札にもみえています。
(『和漢三才図会』『南畝発言』『我衣』『松屋筆記』『嬉遊笑覧』『陶磁工芸の研究』)

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