名物記 めいぶつき

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鶴田 純久の章 お話

諸家所蔵の名物茶器の目録を「名物記」と称しています。
1577年(天正五)の奥書のある『茶湯道具名寄』(遠州御蔵元帳のうち)、1593年(文禄二)の『仙茶集』唐物凡数の部、松屋久重が編集したとみられる『松屋名物集』、『遠州御蔵元帳』にある「諸家之茶器名物」、1660年(万治三)刊行の『玩貨名物記』、江戸時代中期元文(1736-41)頃のものかといわれる『中興名物記』などがそれであるようで、『山上宗二記』も流布本が『茶器名物集』とあるようにその内容の一部は「名物記」だといえます。
『仙茶集』の奥書には「日本国申宝物所持之高下ノ仁体記之」とあるようで、また『松屋名物集』は珠光から遠州に及ぶ膨大な所持者目録であって、中にはその道具の伝来・寸法・内容を略説したところがあります。
なおこの「名物記」に対して個人の所持道具目録はこれを「蔵帳」または「道具帳」と通称しているようであります。

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