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鶴田 純久の章 お話
土師器 壺
土師器 壺

Haji ware: jar. Excavated at Sakazu Site, Kurashiki-shi, Okayama. 3rd century. Height 39.0cm. Kurashiki Archaeological Museum.
岡山県倉敷市酒津高梁川河床酒津遺跡出土
3世紀
高さ39.0cm 口径20.0cm 胴径31.8cm 底径7.5cm
倉敷考古館

 酒津遺跡は、高梁川が倉敷平野につくった最初の沖積デルタ上に形成された、弥生時代中期以降の集落遺跡です。とくに「酒津式」の名で呼ばれる一括の土器は吉備地方最古の土師器であり、西日本における古式土師器である布留式以前の最古形式として注目される内容をもったものです。
 内傾する口頸部から外方へ屈折し、さらに垂直に立ち上がる二重口縁の壺形態は、当地方の弥生後期の壺の系譜を直接ひくものです。小石を含んだ砂質の素地で、器面は磨き調整をしています。底部は小さく不安定です。この壺は口頸部に描かれた特殊な刻線文様の存在によって有名なものです。刻線文は口縁帯の一箇所から始まり、口頸部に引き降した直線から曲線と直線の組合せによる直弧文に類似の文様を口頸部にめぐらしたもので、同一の単位文を8.5単位繰り返しています。このような特殊な文様を有することや口縁帯に残る丹塗の手法からみて、祭祀用の土器である可能性がつよいです。

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