須恵器 子持𤭯・装飾器台

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鶴田 純久の章 お話

Sue ware: hasō with diminutive jars, and decorated stand. Excavatet at Hanedo, Fukushima-shi, Fukushima 5th century. Overall height 70.0cm.Registered as Important Cultural Property. Ise Jingū Chōkokan Museum.
福岡市金武字羽根戸出土
5世紀
総高70.0cm (𤭯)高さ20.2cm 口径13.4cm 胴径18.4cm (器台)高さ57.0cm 口径18.3cm 中央筒径8.8cm 底径26.5cm
重要文化財
伊勢神宮徴古館農業館
 装飾のある筒形器台に子持魏を載せた古式須恵器の代表的作品の一つです。は実用品からはなれて大形化した祭祀用のもので、胴中央に二個の小孔を有し、肩に四個の小形をつけています。この種の大形は筒形器台と組み合わせにして用いられるものであり、その典型例です。胴の小孔は通常一個ですが、この場合は装飾的なものでしょう。
 筒形器台はを載せる杯部と筒状の胴とそれを支える八の字に開いた台脚とから成り、その源流を百済の陶質土器に求めることができます。口頸部の太くて短いや器台の形状からみて、須恵器の最古形態に属し、5世紀後半代にその製作年代を求めることができます。
 器台には杯部に二段、筒形胴部上段のふくらみのある部分に一段、勾玉と円形浮文を交互に貼りつけています。筒状胴部は二重沈線によって四段に分かち、各段に亀を一匹ずつ貼りつけていますが、上の亀ほど大きく、下から螺旋状に円柱をのぼってゆくさまを表現していあります。台脚の上面に円柱に接して、腹を斜上方にむけてひっくりかえっている亀を挟んで、三匹の犬が吠えついている情景を、またやや離れて子供を背負った人物を表現しています。亀犬人物それぞれ粘土棒をひねっただけの稚拙なつくりですが、生き生きとしており、犬に追われて逃げる亀とそれを眺める親子連れといった風景を円柱部分に螺旋状に表現することによって動きのあるものにしようとしたものでしょう。下から追いあげる犬の表現などまことに心にくいばかりです。

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