Haji ware: stem plate. Excavated at Yanagimoto-machi, Tenri-shi, Nara. 8th century. Height 8.9-9.6cm.Tokyo National Museum.
奈良県天理市柳本町出土
8世紀
高さ8.9~9.6cm 直径18.0cm 底径13.1cm
重要文化財
東京国立博物館
土師器高杯の杯部が平らな円盤状になり、脚部に面取りを施すようになるのは7世紀末から8世紀にかけての畿内における現象です。本器は、杯部の周縁に平縁を有する浅い円盤に八面の箟削りによる面取りをもった短い脚を付けたもので、平縁の上面には節削りによる放射状の、内面周囲には連続する円の暗文を施しています。この形態の高杯はやがて杯部の径が小さく、脚が長大化して、暗文がみられなくなってゆきます。そうした変化の過程からみれば、この高杯は8世紀初頭に位置づけられるものでしょう。良質の土を用いて入念に仕上げられたこの高杯は当代の土師器高杯のうちでは最も優れたものであり、須恵器の普及にもかかわらず、奈良時代において、かえって土師器製作技術が進歩したことを示す典型的な作例として挙げることができましょう。