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鶴田 純久の章 お話
須恵器 台付壺
須恵器 台付壺

Sue ware: tall-foot jar. Excavated from Kinzaki Tumulus, Matsue-shi, Shimane 5th century. Height 29.6cm. University of Kyoto.
島根県松江市西川津町金崎山金崎古墳出土
5世紀
高さ29.6cm 口径10.7cm 胴径21.0cm 底径19.5cm
京都大学文学部考古学研究室
 外開きの短い口頸部に、直立する高い蓋受けのかえりをもったこの台付壺は、形態の上からみて5世紀後半の作であることが知られます。惜しくも蓋を失っています。このような古式の須恵器壺は、いずれも丸底ですから、台脚をつけるか、高杯形器台に載せるかして用いられています。小石を含んだやや粗い素地で、胴部は紐巻き上げその後、太い条線状叩具を用いて基本形をつくり二次的に轆轤によって成形、さらにカキ目によって器面を調整しています。このような直径20cmをこえる初期の壺類はいずれも紐巻き上げ 轆轤成形によっており、口頸部胴部・台脚をそれぞれ別につくって接合しています。
 器面には口頸部一段、胴部二段および台脚に櫛目波状文を施しています。また台脚には古式の須恵器に特徴的な三角形の透かしを二段に千鳥状に穿っています。このような形状の台付壺はすでに日本化された特色を示しています。燻焼還元焼成によって器面は灰黒色を呈します。焼成はきわめて良く、肩から台脚の一部にかけて暗緑色の自然袖がかかっています。古式須恵器の代表的作品といえましょう。

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