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鶴田 純久の章 お話
灰釉 鳥鈕蓋
灰釉 鳥鈕蓋

Kannon-ji.Ash glaze pottery: cover surmounted by bird knob Excavated from Kurozasa No.4 Ceramic Kiln, Miyoshi-machi, Aichi. 8th century. Height 6.2cm.
愛知県みよし市大字福谷字根浦黒笹4号窯出土
8世紀
高さ6.2cm 長さ9.1cm 蓋径9.6cm
 大きさから推して、おそらく長頸瓶の蓋でしょう。瓶の蓋には鶏冠状あるいは鳥嘴状の紐をもったものが猿投窯においていくつか発見されていますが、これだけ完好な鳥鈕蓋は本器のほかに、昭和四十九年七月に黒笹7号窯で発掘された鳥鈕蓋があるのみです。
 鳥紐は二枚の板を左右から合わせて基本形をつくり、箆を用いて整形しています。眼は竹管を押して、嘴および羽毛は箟描きによって表現していますが、きわめて写実的であり、よく鳥の特徴をとらえています。山中深く、作陶にいそしむ工人たちが、谷の湿地帯に群れ遊ぶ水鳥の生態に馴れ親しんだものでしょうか。その特徴を簡潔な表現のなかに見事にとらえています。全面に施された濃緑の灰釉がしっとりとした光沢を放って、この鳥にいっそうの生気を与えています。

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