Ash glaze pottery: jar with handle. Excavated from a kiln site at Kita Shinden, Nisshin-machi, Aichi. 10th century. Height 22.0cm. Honda Collection.
愛知県日進市大字北新田古窯跡出土
10世紀
高さ22.0cm 口径8.0cm 胴径15.0cm 底径12.0cm
本多コレクション
このような手付瓶には大小二種のものがあり、唐末五代の中国青磁の水注を祖形にもつもので、9世紀後半代に猿投窯において、灰釉陶器として出現しました。大形手付瓶には緑釉 灰釉・ 無釉花文などさまざまのものがあり、肩に注口を有するものと無いものがあります。
初期のそれは胴のふくらみが大きく、最大径は胴部中央にありますが、10世紀中葉以後には肩が落ちて、胴下半に重心が移っています。
本器はまず底板の円盤をつくり、紐土巻き上げによって胴部の基本形をつくったのち、轆轤成形によって全形を整えたもので、轆轤技術はかなり低下しています。形からみて10世紀なかごろにぞくするものでしょう。灰釉は刷毛塗りによって器面全体に施されていますが、釉層は薄く、淡緑色を呈します。大形手付瓶の完器はきわめて少なく、本器はなかでもその代表的な作品です。