高さ42.1㎝ 口径17.4 ×17.6㎝ 底径17.8㎝
わが国にある占伊万里色絵大壺のなかでは、第24図とともに最も魅力的な作品の一つであるが、日本伝世品ではなく、近年ヨーロッパから請来された、かつての輸出品である。
焼成中に口部が歪んだ不良の素地であるが、捨てずにそのまま上絵付されている珍しい例である。
頸部に鋸歯状文、肩には花唐草、肩下には雲文をめぐらし、胴には一方に太湖石を中心に牡丹の図、他方にはやはり太湖石と三輪の大きな花をつけた椿の図を、八角の広い胴いっぱいにおおらかに描いているが、このような表現の大壺もまた例を見ない。
このような構図は今口一般に柿右衛門様式といわれているものであるが、いわゆる乳白子柿右衛門だけではなく、染付などにも多くあらわされているので、寛文から元禄頃にかけて有田で流行した一様式と見るべきであろう。
しかし、これほど大柄な図は珍しい。
磁質はさして上質のものでない。