Mokubei: teapot in the style of kōchi ware peony design, with ac-companying brazier and brazier stand
Height 40.0cm
総高40.0cm 高さ 11.1cm (急須) 径14.0cm (涼炉)、径18.1cm (炉座)
青木木米は煎茶を愛飲し、ついには作陶生活に入って、みずから好むところの煎茶道具を焼造しました。そして今日では煎茶具といえば、中国から請来されたものよりも、木米の作品の方が声価が高いようです。そうした木米の煎茶具の数々を図示するにあたり、急須と涼炉を置き合わせて、煎茶の雰囲気をしのぶことにしました。
急須は紫交趾の代表作で、ざんぐりとした作振りのうちに、木米らしい凛とした作為がうかがわれます。
炉座を伴った涼炉は、火口の窓の中に中国服を着飾った舞妓の小さな人形をとりつけ、窓のところに梅の浮文をあしらい、正面に「煙「霞幽賞」 の文字を刻しています。底裏には 「太平安鳧川千停雲楼中栗「田陶子造」 と刻銘を記し、「粟田」 と 「木米」の印を捺しています。
付属の炉座は六角形で、卍透しをつけた高欄をめぐらし、底の六方に獣脚を配して、鮮麗な朱と緑で白泥の素地に加彩しています。底裏に「青来」と「木米」 の印を捺します。もちろん、涼炉と炉座は一具として調製されたもので、類例を見ない艶美な珍器です。
涼炉の箱の蓋表には 「天保壬辰初春日 鷗雨雅伯嘱也 粟田 木「米造」 炉座の箱には 「炉座」 とのみ書しています。天保三年に、木米のパトロンともいえる存在であった岩崎鷗雨のために、特に調製したものと思われます。