奈良時代に唐三彩をまねてわが国でつくられた三彩釉の陶器で、釉を掛けたわが国でのやきものの最古のものであります。
正倉院には三彩釉のものが五点、二彩のもの三十五点、その他の単彩釉のものが二十八点保管されています。
正倉院の三彩釉の盤の底に「戒堂院聖僧供養盤、天平勝宝七歳7月10日東大寺」と墨書があるようで、制作された年代がうかがわれます。
正倉院三彩は唐三彩とは素地・釉・形・文様・作行とも異なっています。
奈良時代の瓦と粘土が同じものでつくられていますので、わが国で焼かれたものでありますが、窯跡は明らかではないようです。
(『日本の陶磁』)