揮発釉 きはつゆう

marusankakusikaku
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鶴田 純久の章 お話

陶磁器の素地を焼成する際、窯中に投入したある化合物が揮発分解して素地の表面に付着し、熔融して釉を形成したものです。
この釉は特に妬器製造の場合に限り応用されるもので、その化合物の主成分は食塩から成っています。
食塩釉を初めて使用したのは1680年、イギリスのスタフォ一ドシャ一のパルコ一およびバグナルの両氏であります。
その施釉法は比較的簡単で、また釉質が硬く日用品として用途が非常に広いですので、現在でもヨ一ロッパでは盛んに行われています。
食塩釉を施すには通常の方法と異なり、まず成形した器物を匝鉢内に入れずに窯内に積むか棚上げに列置し、その後焼成してゼ一ゲル錐の七、八番位の火度に達した時、窯内へ食塩を投じれば、高熱のために揮発し素地中に含有する珪酸と化合して珪酸ソ一ダとなり、釉のようにその表面が滑らかになります。
なお同時に生ずる塩化水素ガスは煙突から飛散しますので、食塩釉を用いようとする素地は珪酸を多く含んでいるものを選ぶことが必要。
またこれに要する食塩の量は、釉層の厚薄、窯内に積み込んだ品物の多少によって異なりますが、窯内カスの容積一立方メートルにつき〇・五から三基を要するといいます。
この方法は一般に土管その他粗雑な日用品の製造に応用するものでありますが、これより入念の品を製造する時には品物はすべて厘鉢内に入れますので、この場合は顧酸・炭酸石灰などの混合物を同一匝鉢の内側に塗付して行いましました。
これを移し釉といっています。

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