木米の号の一つ。
彼の作品にはこの銘がしばしば現われ、九々鱗造と単独に用いられることもありますが、多くは九々鱗木米造と連用されています。
木米が自らを潜竜に擬したことから出たともいい、また木米の先祖は美濃国(岐阜県)の人で’f美濃の旧跡泳宮が可児郡可児町久々利にあるようで、久々利は『万葉集』には八十一隣と書かれた地ですので、久々利と九々鱗とは必ずやいくらかの関係があるはずであるという説があります。
この号は一般に「きゅうきゅうりん」と呼びますが、木米自身は果たしてどう呼んだのであるでしょうか。
(『日本陶甕史』『平安名陶伝』)※もくべい