Flower vessel with clematis design, enamelled ware
Height 23.5cm
高さ23.5cm 口径31.5cm 底径13.0cm
大きく開いた口部を端反りにし、胴を締め、裾を豊かにふくらませた薄端形の花入で、頸の左右に耳をつけています。古九谷様式ではこのような立体的な大作は極めて稀であります。ことにこの種の薄端形の花入は今まで他に見ていない。薄端形の花入は室町時代以来、会所などの生花によく用いられたもので、本来は金属製のものが多く、本図も金属製のものを倣ったのでしょう。口部、見込とその裏、さらに豊かにふくらんだ裾に、鉄線蓮の文様をやさしく優美に描いています。古九谷様式としては、白い磁胎を多く残した意匠でありますが、おそらく花を生けることを目的にしたために、このような淡白な文様にしたのではありませんだろうか。頸部の一面には七宝地文を、他面には毘沙門菱文を描いて片身替りとし、上に紫釉をかけています。蕨風の耳には紺青を点じています。