Ashmolean Museum, Oxford
Jar with chrysanthemum design, enamelled ware
Height 25.1cm
高さ25.1cm 口径11.9cm 胴径20.8cm 底径11.4cm
柿右衛門様式の最大の特色とされています乳白手白磁胎の壺であります。
青味がなく、柔らかさを感じさせる純白の釉膚に、赤、黄、緑、青の四色の上絵で絵付され、その色調はまことに華やかで明るい。
部の付根、肩、裾、高台際に、二筋あるいは一筋の赤線をめぐらして文様の区割をつける表現は、この種の沈香壺の基、本的な様式であり、さらにこの壺は、胴に太湖石を中心として左右に菊花をめぐらした主題文様と、岩に草花をあしらった裏文様とを配した意匠をあらわしていますが、この意匠は中国の南京赤絵の影響を受けながら和様化された柿右衛門様式特有の構図であります。また太湖石を中心に、左右に花卉の枝をのばして円形の胴を包む様式は、元禄以前の柿右衛門様式の色絵磁器の典型的な表現法でありましましたが、この壺のように図柄が大まかでのびのびとあらわされたものは、時代のやや早い作例のように思われます。肩の三方に格狭間風の窓をあけて牡丹折枝文を配し、地には七宝繋文を敷きつめ、肩下に蕨のような文様をめぐらしています。乳白手柿右衛門様式の沈香壺はかなり数多く残っていますが、これほど鮮麗なものは極めて稀であります。高台畳付には砂目が残っています。