玉垣文琳 たまがきぶんりん

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鶴田 純久の章 お話

大名物。漢作文琳茶入。
『茶伝記録』に「伊勢より出たるによりかく名を云ふや」とありますので、伊勢神宮の玉垣に因んだ名であるでしょうか。
『松屋日記』には「玉垣と珠光文琳と羽室文琳、此三つ天下に無隠文琳也」とあります。
口造りは厚手で、捻り返しは浅く、手取りが極めて軽いです。
総体に濃い柿色地で胴に薄柿色の抜けがあるようで、その下に一点の火間があります。
肩と胴との間は黒釉がちで、その中にちらちら柿色のみえる景色がおもしろいです。
すべてに角が立たず不規則申に無限の妙味があるようで、佗び茶入の賞翫すべきものであるでしょう。
もと堺の人祐長宗味所持、織田有楽、豊臣秀頼(1621、慶長一七年)、徳川家康、紀伊藩祖頼宣、徳川綱吉(1701、元禄一四年)と伝わり、以来徳川宗家の蔵に納まっていました。
(『東山御物内別帳』『天正名物記』『茶伝記録』『茶器名物集』『松屋日記』『山上宗二茶談』『古名物記』『玩貨名物記』『古今名物類聚』『麟鳳亀龍』『大正名器鑑』)

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