Ash glaze pottery dish. Excavated from Kurozasa No.90 Ceramic Kiln, Aichi. 10th century. Diameter 15.2cm. Aichi Prefectural Ceramic Museum.
愛知県みよし市大字福谷字根浦黒笹90号窯出土
10世紀
高さ3.4cm 口径15.2cm 底径7.9cm
愛知県陶磁資料館
腰に稜を描いて立ち上がる形態の皿は10世紀に入って出現したものと考えられます。もちろん、美濃尾張の灰釉陶器に特徴的な形態です。この形態はおそらく金銅あるいは佐波里の、腰に稜のある鋺の写しである灰釉椀からきたものでしょう。
白色の緻密な土を用い、水挽き轆轤成形で、内面のみに黄緑色の灰釉が施されています。この皿は黒笹90号窯の窯内に遺存していたもので、焼台の上に二枚重ねて置き、上から浅い洗面器状の匣鉢を被せて、粘土で目張りをして焼いたものです。したがって、自然降灰のおそれはまったく無く、10世紀前半代の灰釉の状態を知る貴重な一例です。