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鶴田 純久の章 お話
渥美 刻文壺
渥美 刻文壺

Atsumi ware: jar with incised ornament. Excavated from Kanuki-yama Sutra Mound, Kanuki-chō, Numazu-shi, Shizuoka. 12th century. Height 42.2cm.
静岡県沼津市香貫町香貫山経塚出土
12世紀
高さ42.2cm 口径17.5cm 胴径39.8cm 底径13.5cm
東京国立博物館
 大正七年九月、香貫山西南部台地上の経塚群の一基から出土したもので、銅製経筒、和鏡、短刀 影青合子などを伴っていたというから 経筒外容器として用いられたことが明らかです。直径22cm
 の大平鉢を蓋にしていたといいます。
 壺は砂質に富んだ粗い素地で、鉄分を多く含んでいて器面に黒色の小粒子が多く吹き出しています。紐土巻き上げ成形で、胴部を三段に接いでおり、下段には型による叩き締め痕が、上段は陶土をなでつけた痕跡が残っています。口頸部は大きく外反し、口縁部は折り返すことなく、肥厚させて、斜めに面取りを施しており、断面は三角状を呈します。文様は肩に半截竹管による平行沈線を三段にめぐらし、その間に上向きの半円弧を二重沈線で連ねています。蓮弁文というよりは連弧文と呼ぶにふさわしい文様です。このような連弧文を横線内に千鳥に配する文様は渥美窯の中形壺にしばしば施される文様であって、素地・成形・文様のいずれからみても本器が渥美窯の製品であることはうたがいえないところです。なお、強い火度のために焼き割れを生じ、肩の半面が大きく歪んでいます。

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