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鶴田 純久の章 お話
備前 花入
備前 花入

Bizen ware: flower pot. Dated Kōji 3 (1557). Height 38.1cm. Registered as Important Cultural Property.
弘治三年(1557) 銘
高さ 38.1cm 口径15.6~17.5cm 底径20.0cm
重要文化財
 矢筈口で旅枕形の大ぶりの花入であり、備前の花入としてごく初期に属するものの一つです。胴に箟書きで四方に備州大滝山 中道院常住物弘治三年三月廿一日の銘があり、製作年代の明らかな優品です。備州大滝山は備前市の北方熊山山中にある福生寺という密教の教場で、備前国神明帳に「和気郡従四位下大滝大明神」あり、福生寺の常住物としてつくられたものである。天文年間あたりから侘び茶の流行にともない、備前において茶陶が焼かれるようになりますが、茶人好みの花入として定着するのは桃山時代に入ってであり、この大筒花入は仏事の一具としてつくり出されたものでしょうか。
 裾ひろがりの雄渾な作行を示し、口縁下に三条の山路風の目があり、前後二箇所に縦に長く太い俺を入れています。底は平らですが、両側に押さえた指痕が無数についています。焼成はきわめてよく、茶褐色の器肌の半面に自然釉が被り、窯変して灰青色の変化に富んだものとなっています。

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