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鶴田 純久の章 お話

Keinyu: tea bowl, Red Raku
Mouth diameter 9.9-10.2cm
高さ7.9cm 口径9.9~10.2cm 高台径5.1cm
 内箱蓋裏に 「赤茶碗 吉左衛門作 左(花押)」 と碌々斎が書き付けています。いうまでもなく慶入の吉左衛門を称していた時代、すなわち弘化二年(作品は同三年から出したといわれる)から明治四年の間の作である。剃髪後の代表作である 「入舟」 (図30) ほど巧妙な作ではありませんが、吉左衛門時代の作として典型的なものといえます。安政元年から明治四年の間に用いた董其昌の法帖から選んだといわれる楽字印が高台内に捺され、この印を俗に中印と呼んでいますが、中印の茶碗としてはおそらく初期のものでしょう。わずかに内に抱え込ませた口縁は緩やかな起伏の五岳に作り、全体の姿は半筒形に作っています。高台脇に段をつけ、腰に籠をめぐらし、胴に縦目を施しています。一方内外には緑褐色に火変りが生じ、また素地の上に塗った黄土の刷毛目が赤い釉地に黄色く残っています。

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