黒印尽筒茶碗 銘雪山 弘入

黒印尽筒茶碗 銘雪山 弘入
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

Kōnyū (Raku XII, 1857-1932): cylindrical tea bowl with design of
stamp marks, known as “Yukiyama”, Black Raku
高さ10.1cm 口径9.8cm 高台径4.3cm
 内箱蓋裏に「弘入作 黒ツ、茶碗 数印 銘雪山 左 (花押)」 と惺斎宗左が書き付けています。印尽の茶碗で、弘入作黒茶碗の優作です。まるく内に抱えた口造りは、穏やかな起伏の五岳にし、腰にかけてしだいにすぼまり、腰から高台にかけてはまるみを持たせて腰高に、高台は小振りで、高台内にかるく巴の兜を削り出し、腰縦目をつけています。黒釉は滑らかによく溶けていますが、胴裾に遠山風のかけはずしを残し、そこに透明釉をかけています。その景に因んで「雪山」と名づけたのでしょう。見込に半円の茶溜りがあり、弘入が生涯に使用した印のうち、伏見宮拝領印を除いたすべてを土見せの高台まわりに捺してあるのも珍しいです。

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