備前 三角 掛花生

備前 三角 掛花生
Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話
備前 三角 掛花生
備前 三角 掛花生

Bizen Hanging flower vase of triangular body
高さ24.0cm 口径7.8×8.5cm 底径7.5×8.7cm
 利休所持と伝える花生で、極めて珍しい器形のものでしょう。全体を三角に作り、上部二方に方形の窓をあけています。利休好みの竹花生などと気分が似ていますが、二面に窓をあけていますところに独特の創意がうかがわれる。焼膚は室町期のものに近く、景色に乏しいもので、全体に黒く焼き上がっています。箱に利休所持であったことが記されていますが、おそらく利休好みといってよいのではないでしょうか。
 備前焼の花生が茶会記に初めて登場するのは永禄十年十二月二十四日のことで、利休の会であったことがr津田宗及茶湯日記」に記されています。茶会に用いられた花生がどのようなものであったかは判然としないが、利休所持の「破桶水指」などと思い合わせて、かなり作為的なものがすでに利休時代に焼かれていたことがうかがわれるのでしょう。そうした消息を物語るものとしてにこの花生は貴重な資料といえます。

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