新しい陶芸の茶会 あたらしいとうげいのちゃかい

marusankakusikaku
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鶴田 純久の章 お話

現代の茶会を再構成しようと1956年(昭和三一)11月に裏千家と現代陶芸作家五氏が協力して催した新しい陶器による茶会。
茶道が生活工芸の総合的な造形的演出の上に成り立っているとするならば、広い意味での現代工芸運動そのものに対して、指導的な立場に立たなけれぱならないはずであります。
ところが茶道界の現実は、家元を中心とした十職という工芸の職方によって伝統的な格式が尊ぱれ、現代の工芸運動とはまったく無関係な状態にあるといってよいです。
これは茶道人側の怠慢にもありますが、新しい工芸運動家側にも責任があるといわねばならないようです。
工芸作家の側から、茶道に対して自らの作品の意味を問い、茶道側からの積極的な反応を聞く必要があります。
このような反省が作家側から起こり、伝統工芸会の主要メンバーで重要無形文化財の石黒宗麿・荒川豊蔵・加藤唐九郎・加藤土師萌・金重陶陽が、裏千家十四世千宗室の協力を得て茶会形式による新しい陶芸の展示を行なりましました。
すなわち裏千家茶道会館並びに各茶室において、前述五氏の作品による道具組の茶会が開かれ、茶道具としての工芸のあり方に対する実験的な問題提起か行なわれました。
この運動は茶道界と工芸界とに大きな問題を投げかけ、1965年(同四〇)まで続けられました。

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