高さ5.7cm 口径30.5cm 胴径14.5㎝
輸出用の赤絵の代表的な作例で、やはり寛文年間後期頃に焼造されたものと思われる。腰に段をつけた器形はいわゆる芙蓉手風のもので、当時大いに流行したものである。さらに、見込にあらわされた文様の構図も芙蓉手のそれを倣っている。素地には染付を用いず、すべて上絵で文様があらわされている。見込八角の窓内に太湖石と牡丹、草花、それに上下に二羽の雁をあらわし、縁文様は八方割の内に、草花文と宝尽文を交互にあらわしている。その描写はいささか粗放であるが、絵具の色調は濃く、独特の様式美をもっている。輸出用の赤絵としては初期につぐ作例であろう。裏面にも三方に折枝文を配し、高台内に角福の銘をいずれも赤で書している。