『北熊本県の天草島は石英粗面岩の産地で、磁器原料として各方面で採用されています。
元禄年間(1688-1704)に高浜村(天草町高浜)の上田氏が同村の鷹ノ巣で発見してもっぱら砥石として売り出し、その六代目の伝兵衛になって平賀源内に教えられて陶磁器原料に適していることを知り、肥前から山路幸右衛門を招き1762年(宝暦一三から皿山焼を始めました。
続いて明和(1764-72)の頃に長崎奉行柘植大和守の奨励によって出島に在住しているオランダ人と交易し、七代源作以後はもっぱら内地向けの製造に力を入れましたが、1838年(天保九)になって一旦中止しました。
1869年(明治二)に磁器焼成を再興し1895年(同二八)まで継続しましたが、以後は原石販売の専業に移りました。
(塩田力蔵)