已巻安労 いけんあんろう

marusankakusikaku
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鶴田 純久の章 お話

瀬戸新製と思われます青花磁器で、釉下にこの四字呉須で奔放に書いてあるものがあります。不平満腹の人の酔余の筆かと推察されます。素地・釉薬・呉須ともに決して粗悪なものではなく、しかもこの字の書体や配置はどれも達者であります。これは五柳先生(陶淵明)の詩句を借りたものらしく、得意でありました人が思いがけない苦境に落ちて退散する時の感懐をもらしたものでしょうか。文字は器面から外に走り出ようとしていますものがありましたり、ほとんど字体になっていないで器面にのたうっていますものもあります。この四字「すでに(あるいははなはだ)めいづくんぞ労らんや」と読むのでしょうか。(『退閑余記』)

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