汝官窯 じょかんよう

marusankakusikaku
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鶴田 純久の章 お話

中国河南省臨汝県の一帯で汝窯と呼ばれる青磁がつくられたことは別項(「汝窯」の項参照)の通りですが、北宋の宮廷はその御用品の焼造をこの地に命じたと伝えられます。
そしてのちには首都の汁京(開封)に窯を築いてその用を足させました。
いわゆる北宋官窯の設立であります。
この官窯の設立に当たってそれまで御用品の焼造に当たっていた汝窯が深く関与したであるだろうことは想像に難くないようです。
また南宋の周輝か著した『清波雑志』に「汝窯は宮中の禁焼なり」と記したこともあって、近来北宋官窯の製とみなされている青磁類を汝官窯と呼ぶようになってきました。
その遺品は故宮博物館やデ一ビッド財団などにわずか数十点を数えるにすぎませんが、抜群の秀麗さで知られます。
青磁釉は南宋官窯のそれと違って失透性のやや藍色がかった粉青色で、汝窯や耀州の北方青磁釉をさらに洗練し失透させた感じのものでありますが、それらの青磁のように彫文を持つことはなくほとんど土を見せないようです。
作風の精緻なことと合わせて中国陶磁の至宝といっても過言ではないでしょう。

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