Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

大名物。
漢作大海茶入。
『徳川家所蔵御道具書画目録』に「総体柿色の所に黒景の釉色打曇の如くなるを以て東山殿之を銘すといふ」とあり、津田宗及の『茶湯日記』には「打曇大海始めて拝見候、絵様うちくもりのやうなる所あり、結構なる薬の様子なり」とあります。
足利義政所持。
のち豊臣秀吉に伝わりしばしば茶会に用いられました。
その後京極家を経て紀伊侯に入り、宝永年間(1704-11)さらに幕府に献上され以来徳川宗家に伝来しました。
(『大正名器鑑』)

うちぐもりたいかい 打曇大海

漢作唐物大海茶入。
大名物。
色紙の地文にみられる打曇紙の文様に似た釉がかりによっての銘と思われます。
「大海」の名は口が広々とひろがり、平らなところからきています。
この茶入も、平たいおおらかな姿に、広い口と甑短くおさまり、おおような姿で貫禄を示しています。
下が張り、そのまわりに三本筋がめぐり、総体に柿色地に光沢ある黒飴釉がなだれて置形をなし、その他に大なだれが一カ所、小なだれが二カ所あります。
手取りも軽く、鮮やかな糸切の中央に火裂が一カ所あり、これを挟んで二カ所に釉が飛んでいます。
腰以下の朱泥色の土にもひっつきがあります。
この土の上を流れ盆付に達する黒飴釉のなだれた景色は見事です。
その上に肩の下から打曇紙の文様のように濃い釉が左右からたなびき、これに反して胴以下の置形が鮮明で、晴れやかです。
上下陰陽、対称となる景色は、唐物大海中ことに秀でたものです。
秀吉に伝わり、天正十一年の茶会に使用されたことが、『今井宗久日記』 『津田宗及茶湯日記』などに記載されています。
また『山上宗二記』には代三千貫の名物とあります。
その他『宗友記』『玩貨名物記』『古今名物類聚』などに記載。
【付属物】蓋 仕覆―三、木下裂・松竹梅緞子・雲鶴緞子(図版右より) 仕覆箱 桐白木書付 内箱桐白木書付 外箱─黒塗、金粉文字
【伝来】 東山御物 豊臣秀吉―京極道誉紀州徳川家―柳営御物
【寸法】 高さ:7.4 口径:6.3 胴径:10.1 底径:47 重さ:16.5

前に戻る
Facebook
Twitter
Email