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鶴田 純久の章 お話
瀬戸 灰釉魚文瓶子
瀬戸 灰釉魚文瓶子

Seto ware: vase with fish design, ash glaze. Excavated at Yamadera Akai, Okusa, Köta-cho, Aichi. 14th century. Height 26.0cm. Tokugawa Reimeikai
Foundation.
愛知県額田郡幸田町大草山寺赤井出土
14世紀
高さ26.0cm口径4.3cm 胴径17.4cm 底径9.5cm
徳川黎明会
 昭和十一年十一月、道路工事中に古瀬戸四耳壺恵子、常滑壺・など二十個の蔵骨器が出土しましたが、そのうちの一つです。この地には山腹に浄土寺という天台宗寺院があり、その南方に当たっていて、旧浄土寺の墓地に属するものと考えられます。
 この子は小さい口頸部の突帯が口縁直下にあり、丁寧なつくりで、この種の梅瓶としては初期に属するものです。やや肩が張って底部が小さくすぼんでいるのも古式の特色です。魚文は描きで三匹の魚が面を誇るいわゆる追し文の手法をとっています。そして各魚文の間を描きによる短い波文で埋めています。魚は口をV字状に開き、胸が大きく、尾部が細く、流麗な線で描いていて動的な姿を見事に表現しています。この魚波文とおなじ姿の魚波文を描いた灰釉合子が清水古窯から数個体出土しており、同窯の産と考えられます。古瀬戸の文様中、魚文は最も好まれた題材の一つですが、この形態の子では唯一の完器(口縁の一部欠損) であり、安定し黄緑色の灰釉とマッチして見事な出来ばえをみせています。

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