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鶴田 純久の章 お話
瀬戸 灰釉魚文瓶子
瀬戸 灰釉魚文瓶子

Seto ware: vase with fish design, ash glaze. Preserved at Höju-in, Hanaizumi-machi, Iwate. 14th century. Height 36.0cm. Registered as Important
Cultural Property. Nagoya City Museum.
岩手県一関市花泉町宝寿院伝世
14世紀
高さ36.0 cm 口径9.3cm 胴径26.2cm 底径12.0cm
重要文化財
名古屋市博物館
 宝寿院葛西家伝来の瓶子で、平氏滅亡の際、宗祖原親王の御所より墳土を納めて東国に落ちのびたと伝えるが定かではありません。広口の大形瓶子で、口頭部の上方に突帯をらす点で、数多い細口梅瓶の変型としてつくられたものでしょう。完器としてきわめて稀なものです。文様は肩の上端から下方にむけて十六弁の蓮弁を描き 一条の沈線を界に角波文を全面に描いています。腰から下には三重の円剣先文を誇らしています。
 魚文は三匹の追文で、軽いタッチで描かれており写実性に乏しいです。魚文をとり巻いて青海波文が胴の全面を埋めています。これとまったく同様な魚文や青海波文を施した大形瓶子や小形の梅瓶が刈古窯から出土しており、同窯作品であることは疑いえません。同窯から元亨銘狛犬台座が出土していて、鎌倉後期中の年代を与えることが可能です。灰釉は黄緑色の安定した釉調を示しています。

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