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鶴田 純久の章 お話

Seto ware: shallow bowl, ash glaze. 15th century. Diameter 24.1cm. Aichi Prefectural Ceramic Museum.
15世紀
高さ10.0cm 口径24.1cm 底径7.0cm
愛知県陶磁資料館
 室町時代の中ごろの古瀬戸の製品のうちに、内外に灰釉を施した大形の形態の存在が、おろし皿や折縁深皿などとともに目立っています。瀬戸ではこれを平碗あるいは平茶碗、大形のものを型どと呼んでいる。赤塚幹也氏は「瀬戸市史」 のなかで、灰釉天目茶碗から転化したものとしてその変遷を論じていますが、灰釉天目は天目茶碗であり、平碗は系譜を異にすると考えられます。鎌倉時代の日常雑器として山茶碗があり、上級品は鎌倉後期以来中国青白磁の碗を写したものがわずかながらつくられています。平碗は中国陶磁の写しとして、室町時代における日常容器類の生産の向上にともない、山茶碗にとって代わったものと考えられます。通常直径16~18cm
 一位のものが多いですが、本器のような大形品もかなりつくられており、体と呼ぶのはかならずしもふさわしくありません。黄白色のやや粗い土で早い轆轤で一気に挽き上げており、高台は付け高台で、底裏の糸切をそのまま残しています。灰釉は腰および底部を残してたっぷりとかけられており、やや酸化気味の焼成で黄緑色を呈します。軸調はなめらかで、深味のある光沢を有し、数多い平碗のうちでもとくに優れたものです。

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